第1章-1 「選ばれるビルダー」になるためのプロセスとその方法論
見えない環境が大きく変わっている
私はさまざまな業種における経営コンサルタントとして、全国各地で講演、セミナーを行ったり、経営者の相談に乗ったりしています。
住宅業界でもビルダー様ともよくお話をしていますが、みなさん苦戦されているのがよく伝わってきます。
とくに2 代目、3 代目となる経営者のかたの悩みが深いように思います。
これまではそれなりに安定した受注があり、売上も計算できていたのが、ここ数年になって、ぱったりと仕事がとれなくなった。チラシの反応も悪くなった。父の代からこれまでやってきたことをそのまま受け継いで、とくに変わったことはしていないのに…。
そんな声をよく耳にします。
そのたびに私は次のようにお答えしています。
「急にこのような事態になったわけではありません。もっと前から少しずつ窮地に追いやられていることに気づいていなかっただけですよ」と…。
そうです。
地場のビルダー様を取り巻く環境は大きく確実に変貌を遂げています。
そこに気がつかず、「従来のまま」でいては取り残されてしまうばかりです。
では、現在、受注に悩んでいるビルダー様はどのような状況にあるのでしょうか。
ちょっと整理してみましょう。
先代からの顧客の高齢化
まず、1つ目は「先代からの顧客の高齢化」という要素があります。
新築、建て替え、リフォームと何かにつけてずっとひいきにしてくれていた顧客も、20 年、30 年と過ぎるうちに第一線を退き、息子の代に家督を譲り渡すようになります。場合によっては亡くなったりすることもあるでしょう。そうなるともう「お得意様」ではなくなってしまいます。いつの間にか、大手の住宅に建て替えられていた、などというのもまたよく聞く話です。
新規顧客を開拓しない、もしくはOB 顧客をケアしないで放置していると、顧客の高齢化に伴ってじょじょに支持者が地域からいなくなり、「地元での信頼」「いい評判」も薄れてしまい、地元ならではのアドバンテージを失っていってしまいます。
大手住宅会社の進出、異業種企業の新規参入
2つ目は、これまで地場のビルダー様が得意としていた「こだわりの住宅」、「手頃な価格」といったジャンルに対して、大手の住宅会社が手を伸ばすようになってきました。
インテリアショップや家電量販店、ホームセンターなどの異業種からもリフォームを中心に新規参入が続いています。少なくなったパイをさらに多くの会社で取り合うような、「競争の激化」がもうひとつの大きな変化です。
これまでは町内の仕事は無風状態で受注できていたかもしれませんが、大手の営業攻勢や異業種の宣伝作戦、値引き・ローコスト対応によって、強力な競合相手を常に意識しなければならない状態になっているのです。
ユーザーの情報武装
3 つめは「ユーザーの情報武装」です。今や機械オンチを自認するような女性でも、ちょっとした調べものの際にはスマートフォンやipad を使ってインターネット検索を行います。私の友人が家を建てたときも、普段パソコンをいじらない奥さんが、インターネットで床暖房対応の無垢の床材を探したそうです。
最初に建材メーカーや設備メーカー、設計担当の建築士に問い合わせたところ、口をそろえて「ない」と言われたんです。しかし、インターネットで調べたら出てきた。普通の顧客だったら「あの建築士はうそつきだ」と言いかねません。
もうある分野では顧客のほうが情報を多く持っている、と思っていたほうが良いと思います。床暖房対応の無垢フローリングの件も、「あるかもしれない。探してみます」と答えるのが正解だと言えるでしょう。
もはや「ホーム」ではない地元で、「ごひいき」をなくして、「情報」によって大手と同じ土俵でフラットに比較されているわけです。「受注がない」のではなく、知らないうちに顧客を奪われているだけなのかもしれません。
あなたの会社は、売ることばかりを考えていませんか?
どのように販売するのかではなく、どのようにすれば選ばれるビルダーになるのかを考えて取り組んでみましょう。
そこに現状を打破するヒントが潜んでいます。
コメント
コメントする
利益が増える仕組みを事例で学ぶ社長のための経営塾
定員12名 定員になり次第、募集終了いたします!
これはコメントです。
コメントを削除するには、ログインして投稿編集画面でコメントを表示してください。編集または削除するオプションが用意されています。